しごと日記Q&A編

  今年の夏も暑くなりそうですね。毎年、この時期の夕刊配達は大変ですか?
(2019年7月号掲載)

  『夏は夜』。清少納言は枕草子のなかで、『春はあけぼの』の後に、こう続けました。平安時代の女流作家は、暗闇をほのかに照らす蛍の光や夜更けに雨の降るさまを『をかし(趣がある)』と書き記しています。彼女の『夏』のお気に入りは、今で言うところの、ちょうど梅雨時の情景です。当時の夏は、現代でいう5月初旬の立夏から8月初旬の立秋の前まで。一年で最も昼間の時間の長くなる夏至を中心にした三ヶ月間でした。7月後半に梅雨が明けると、いよいよ夏本番という感じの、現代の季節の感覚とは随分違うものだったようです。

  さて、例年だと、あと半月ほどで梅雨が明け、現代人の我々にとって『夏』と呼べる季節がやってきます。この時期は、薄くて短時間で終わる夕刊配達より、真夜中に眠い目をこすりながら起き出して明け方まで時間のかかる朝刊配達のほうがスタッフには人気があるようです。理由は、もちろん昼間の気温と天候です。ここ数年の猛暑や激しい夕立を考えると、気温の下がる深夜から早朝にかけての朝刊配達の時間帯のほうが、いくらか過ごしやすくなります。初めて夏を迎える新人君の中には、ギラギラと照り付ける太陽の下、こんがりと日焼けしたいという元気なスタッフもいますが、間もなくバテて、そういう元気もなくなってきます。

  新聞配達にとっても、やはり『夏は夜』なのです。そんな夏場の朝刊配達ですが、深夜、バイクに乗っていると気温が下がった瞬間を感じることがあります。平地から高台の住宅地に上っていく時や、長い距離、川沿いを走っている時などに、すっと気温が下がります。そういう時、「あ、いま気温が下がったな」なんて感じることがあります。肌感覚ではありますが、あの瞬間、2℃ほど気温が下がっているのではないでしょうか。
  中には「あの瞬間、バイクの荷台に幽霊が飛び乗ってきたんじゃないかなと思って後ろを振り向くのが怖くなってしまいます」なんて怖がりの若いスタッフもいますが、彼にとっては、『夏は夜』なんて思えないかもしれません。

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