小さな散歩道

川辺堀之内の浅川土手 (日野市川辺堀之内)

 高幡不動方面から高幡橋を渡って、土手沿いの道を一番橋方向に歩くと、すぐ浅川の堤防上に出た。この日、空は快晴だが猛烈な北風が吹いて、遠くは砂ぼこりのせいか黄色っぽく見える。せっかく満開になったばかりの桜が散らないか、ちょっと心配だ。
  何度も強風に吹き飛ばされそうになりながら、市民プールの特徴のある建物が見える川原に着いた。土手のそばに咲いている桜は幸い風に耐えて、散ってはいない。上流を見ると奥多摩や丹沢の山並みが鮮やかだ。そして山あいには、ふもとまで真っ白な雪をかぶった富士山が、くっきりとそびえている。対岸の桜並木のピンク色と対照的だ。
 川原には、強風にもめげず何組かの家族連れが遊んでいた。水がぬるみ始めたのだろうか。流れの中に入っている子もいる。その気配に驚いたのか、カワウが1羽真っ黒な翼をばたつかせて飛び去った。上空では風に飛ばされそうになりながらも、シラサギが懸命に横切っていった。夏になると、子どもたちの歓声でにぎわうであろう市民プールも、いま人影はなく、建物はひっそりしている。
  川原をさらに歩くと、枯れたススキやアシの群れが強風にたなびいていた。ひょろひょろと伸びた姿は一見頼りないが、風に逆らうことなく、あるがままの自然に任せて生きて行くような、芯の強さを連想させた。

(2006年5月掲載)  地図


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