小さな散歩道

平山ゴルフ場跡 (日野市平山6丁目)

 

  京王線平山城址公園駅を下車、城址公園方面に向かって住宅地の中を歩くと、小高い丘陵地の一端に出た。カーブミラーや自治会の掲示板、外灯、民家のブロック塀があるだけで、一見これといった史跡には見えない。ただ、下草は奇麗に刈り込まれ、冬木立のためか、日差しが入って明るい感じだ。
  カーブミラーの脇の石段をあがりその先の山道を登ってみた。二日ほど前に振った雪が解けたせいか、ぬかるんで足元が危ない。やっとのことでやや平らな場所に着いた。
  何かの資料で、大正末期から昭和初期にかけて、この辺にゴルフ場があったと見た。この平らなあたりにクラブハウスもあったらしい。今はきちんと手入れされているが、高さ20メートル近いクヌギなどの樹木が林立して、その時代の面影はない。斜面はかなり急で、すぐ近くには住宅が迫っている。当時は家も少なかったのだろうが、ここでプレーしていたら、あっという間にバンカーや池ならぬ、畑や田んぼに飛び込んでしまうんじゃないかなあ、なんていらぬ心配をしてしまった。
  ここがかつてのゴルフ場であったという痕跡はあるのか、と思って山道をさらに行くと、左手の斜面に石碑が立っていた。碑面に「功労記念 杉山又吉君碑(と読めた) 昭和十年 社団法人 多摩カンツリー倶楽部」と彫ってあり、確かにここがゴルフ場にゆかりのある場所だったことを物語っていた。

(2006年3月掲載)


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