続・しごと日記 〜新人君は見た!〜

[5] 集金始め  (2006年8月号)

とりあえず配達をマスターした新人君は、いよいよ月末の集金業務に突入します。
 いろいろなお客様とはじめて合間見えることとなった新人君の日記を今月も覗いて見ましょう。

○月25日

 今日から集金だ。毎月25日から集金が始まる。
 僕が配達している約400軒のうち、4割弱は口座振替のお客様。残りの6割強、250軒位のお宅に集金に伺う。当然、口座振替のお宅には訪問しないんだけど、いつもの配達の癖で、ついつい呼び鈴を押しそうになる。あわてて通り過ぎるけど、後からついてきている先輩は心配顔だ。ドンマイ。
 「集金はいろんなお客様と顔をあわせる初めての機会だ。『ありがとう。ご苦労様。』と言ってくれるお客様もいれば、怒られる場合もある。心してやるように!!」と先輩は言う。
 ピンポーン。「朝日新聞です」 緊張して声が上ずってしまう。
 「あら、集金のお兄さん代わったの?」
 お客様、気付いてくれたみたいだ。ちょっとうれしい。
 あるお宅に伺ったとき、言われた。
 「あら、やっぱり集金の人代わったのね?」 やっぱりってどういう意味だろう?
 「新聞の配り方が前より丁寧になったから、配達の人が代わったのかなって思ってたのよ」
 新聞屋としてこれ以上うれしい言葉はないんじゃないかと感慨にふける僕でした。でも、逆に配達ミスなんかがあったら、すごく怒られるんだろうな……とも思う。
 「きちんと配達が出来ないと集金もできないぞ!」 先輩の言葉の意味が少しわかった。新聞屋さんはポスト相手の商売だ……なんて思いがちだけど、そうではなく、お客様あっての新聞配達だ。
  まだまだ新米。お釣りを渡す手がまごついて、うまく用意できない。
 お客様と何を話したらいいかわからない。
 お客様の質問に答えられない。
 お釣りを待つお客様がイライラしているような気がする……。
 そんな風に、集金業務では自分の未熟さを痛感する。でも、いろんなお客様と顔をあわせることができる。やさしいお客様もいれば、正直苦手なタイプのお客様もいる。ほとんどのお客様と顔をあわせられる集金業務は、仕事冥利につきる。お客様の顔が見えると明日の配達にも力が入る。

 月末までに、およそ9割のお客様から集金させていただき、さらに翌月の上旬には、すべてのお客様からの集金業務を終えます。
 集金業務を経験した新人君、来月はどんな活躍をするのでしょうか?

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