小さな散歩道

とんがらし地蔵尊 (日野市日野本町4-11-16)


真っ赤な帽子とあぶちゃん姿のお地蔵様

吊るされている穴があいた石

千羽鶴ととうがらしが供えてあった

井上源三郎資料館


十字路の角にある「北原 とんがらし地蔵尊」

 日野駅を降り、「日野駅前東」の信号で甲州街道を渡る。街道脇に伸びる細い道を入っていくと、左手に「上宿の辻公園」があった。現在の甲州街道と消防団の器具置場の裏手からこの公園を結ぶ道は、かつての甲州街道だったそうだ。あずまやとベンチがあるだけの小さな公園だが、きれいでなかなか気持ちのいい公園だ。

 公園の先を進んで、「井上源三郎資料館」の案内看板の角を右折すると、外壁に大きく「誠」と掲げられた井上源三郎資料館が見えてきた。昨年リニューアルオープンした同資料館には、新選組六番隊隊長であった源三郎関連の資料や、八王子千人同心を務めた源三郎の兄・松五郎に関する資料が展示されている。

  資料館を過ぎると、幼稚園がある交差点の一角に小さな地蔵尊が建っていた。
  とんがらし地蔵尊。このお地蔵さまは明和3(1766)年に祀られたといわれており、目を患っている人が唐辛子を供えてお願いすると「ご利益(ごりやく)」があるとのことだ。昔はいろりの煙で目が赤くなったり、いためる人が多く、そういう時にはとんがらし地蔵尊に唐辛子を供えるとよくなるという信仰があったそうだ。

  小さな祠のような地蔵尊に近づいてみると、両脇には色とりどりの千羽鶴と、真っ赤な唐辛子がお供えされていた。正面のお地蔵さまも赤い帽子を被せられていて、その表情はどことなく穏やかなものに感じられた。また、お地蔵さまの両脇には多くの穴のあいた石がくくりつけられていた。これは、自然にあいた穴で穴のあいた石は「目」の形に似ていることから、ご利益があると考えられてきたそうだ。

  なお、この地蔵尊が建つ北原地区の人々は、2月と10月に、このお地蔵さまを囲んで念仏を唱える「念仏講」を行なっているという。昔は当番の家でやっていたが、近年は、お地蔵さまを近くの北原自治会館まで運び出すとのことだ。ちょっと驚いてしまったが、それだけ地域の信仰を集めているお地蔵さまなのだろう。地蔵尊の傍らには「北原本通り改修記念」と刻まれた石碑が建っており、その背後には3体の庚申塔がたたずんでいた。

  井上源三郎資料館の向かいには、欣浄寺が建っている。このお寺の境内には文久3(1863)年に亡くなった千人同心日野義貴の顕彰碑がある。こちらに立ち寄っていくのもいいだろう。

■井上源三郎資料館

開館/第1・第3日曜日 12:00〜16:00
入館料/ 大人500円、子ども(小・中学生)300円
問合せ/TEL 042-581-3957

(2020年1月掲載)  地図


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