小さな散歩道

小島善太郎記念館「百草画荘」 (日野市百草)

記念館入り口 アトリエはそのままに

高台に建つ記念館
絶筆となった「ラ・リューシュと老画家」
パリ時代の愛用品の数々

 高幡不動駅から「聖蹟桜ヶ丘駅」行きのバスに乗って「百草園住宅東」で下車。バス停には記念館の案内板が張ってあり、迷うことなく記念館までたどり着くことができる。案内板通りに進んでいくと、左手に巨木が伸びる百草観音堂が見えてきた。この道を進むと、石垣の上によく手入れのされた植栽が印象的な小島善太郎記念館に着く。

小島善太郎画伯

  小島善太郎(1892-1983)は、明治から昭和にかけて日本美術界の重鎮として活躍した洋画家。パリへの留学を経た1927年には二科展賞を受賞。1930年には独立美術協会を創立した。1971年、79歳で百草に住居とアトリエを構え、多摩の自然を描いた風景画や静物画など多くの作品を残した。

 この記念館は、没後遺族より寄贈された作品を住居・アトリエに展示する「百草画荘」として、日野市が2013年に開館した。こちらには晩年を中心とした作品約30点と遺品などが公開されている。
  建物は趣きある日本家屋だが、吹き抜けのアトリエではシャンデリアが作品を照らしている。巨大な「若妻像」や、自身を絵の中に溶け込ませた「ラ・リーシュと老画家」、自然への愛情溢れる「桜・清春の里」、「奥多摩秋景」など、作品が所狭しと展示してあり、じっくりと堪能しているとあっという間に時が過ぎてしまう。また、生前に使用していた画材や自筆のノートなどもそのままの形で展示されている。モチーフとなったお皿がすぐそこに展示されているのも面白い。この日はボランティアの人と、善太郎の次女・敦子さんが生前の善太郎の話や作品の解説などもしてくれた。「生前の雰囲気を可能な限り残す」というコンセプト通り、善太郎の息遣いがすぐそこに感じられる空間だった。

■小島善太郎記念館「百草画荘」  ホームページ

開館/土・日・祝(年末年始を除く)10時〜16時(夏季は17時まで)
入館料/ 大人300円、小・中学生100円
アクセス/ 「百草園」駅から徒歩20分
問合せ/TEL:042-585-1111 日野市まちづくり部文化スポーツ課

(2014年7月掲載)  地図


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