しごと日記Q&A編

  新人君たちは生活に慣れてきましたか?
(2016年10月号掲載)

  10月です。この時期が一年で最も過ごしやすい時期でしょうか。実は秋になるといつもより眠気を感じる、という人が少なくないそうです。そう言われてみれば……と思い当たる方もいらっしゃるかもしれません。

  当ASAには途中入社してくる新人君もいます。以前は違う職業に就いていて社会経験のある新人君も、新聞販売店の時間のサイクルに馴染むのには苦労するようです。
  先日入社した新人君、いよいよ明日から朝刊の配達に出勤するという前の晩に先輩スタッフから「明日は2時に出勤するように」と指示され、続けて「絶対に、絶対に遅刻するなよ」と何度もくぎを刺されました。
  今日はいつもより早く布団に入って夜中の1時に起きて支度しよう。そう考えながら帰宅して、いつもよりずいぶん早くに布団にもぐりこみます。ところが、翌日からいよいよ仕事も本番に入るという高揚感や不安感、今までに経験したことがない時間に起床しないといけない緊張感、さらに怖い先輩の脅しにも似たプレッシャー、いろんなことが気になりだして、なかなか寝付けずに時間だけが過ぎていきます。そうこうしているうちに知らず眠りに落ちていて、知らず目覚まし時計も止めていて、目が覚めてみれば……。

  よくテレビのバラエティー番組で身を乗り出してプールや温泉をのぞき込む某芸人が「絶対押すなよ」とわざと何度も念を押して、まわりにいる別の芸人に水に突き落とされる、というお約束ネタがあります。そのネタと同じように、なるなと言われてもやってしまうわけです、遅刻。飛び起きて血の気が引きます。
  どやされるかとびくびくしながら出勤すると、すでに先輩たちはみな出勤して配達の準備を始めています。昼間はふざけて冗談を言い合っている先輩たちが真剣な表情で黙々と折り込みチラシを新聞に挟み込む「手入れ」作業をしています。ASAのスタッフたちが一日のうちで一番真剣なのがこの朝刊配達前のひと時かもしれません。
  その張り詰めた雰囲気に新人君の眠気も吹き飛びます。中に交じって配達の準備を始めるのです。

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