小さな散歩道

多摩川浅間神社 (田園調布1丁目)

浅間神社 社殿 東急東横線、多摩川線、目黒線の多摩川駅下車、2分ほど歩くと左手にブルーの丸子橋が現れる。その右が浅間神社だ。
  多摩川台公園の一角にあり、同神社も古墳の上に建っている。石段を登ると右に「食行身禄」(じきぎょう・みろく=富士講の指導者)と書かれた石碑があった。なんと彫られている文字は幕末に活躍した勝海舟の直筆とか。
  本殿境内には桜色のおみくじが枝に結んである。桜の花が咲いているように見えてきれいだ。同神社の御祭神は「桜の花が咲き匂うような……」とその美しさが賞賛された木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。三つある社紋の真ん中が桜なのもこの祭神にちなむ。
  創建は800年ほど前の鎌倉時代。源頼朝が豊島郡滝野川松崎に出陣した時、夫の身を案じた妻政子は後を追って多摩川まで来たが、わらじで擦れた足の傷が痛み出し、やむを得ず多摩川畔で傷の治療をすることにした。逗留した際に亀甲山(かめのこやま)へ登ってみると富士山が鮮やかに見えた。富士吉田には、自分の守り本尊である浅間神社がある。政子は手を合わせ、夫の武運長久を祈り、身に着けていた正観世音像をこの丘に建てたという。
  それ以来、村人たちはこの像を「富士浅間大菩薩」と呼び祀ったのが、この神社の起こりだそうだ。江戸初期の承応元年(1652)5月、同神社の土止め工事中に正観世音の立像が発掘された。これにならい、現在も6月に例祭を行なっている。

 冬の展望台からの眺望は素晴らしい。眼下に悠々と流れる多摩川。左に丸子橋、その先は東急東横線が鉄橋を渡る姿が見える。遠くは多摩方面。この展望台にはよくアマチュアカメラマンが集まる。早朝には雪をかぶった富士山を、夕方には夕日に浮かぶ富士山を狙っている。

 

 

 
展望台から横浜方面を見る。手前は丸子橋                      展望台から多摩地方を見る。手前は東横線

(2013年1月掲載)  地図


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